更新日: 2025年7月25日
■「スティールパン」はどんな楽器?
7/12(土)から2ヶ月間開催される「KOBE国際音楽祭2025」のフィナーレイベントとして、今年で25周年になる西日本最大のスティールパンイベント『The 25th KOBEスティールパンカーニバル2025』が2025年9月14日(日)に開催されます。
「スティールパン」とはドラム缶から作られた音階のある打楽器。
“20世紀最後にして最大のアコースティック楽器の発明” と言われるこの楽器は、20世紀半ばにカリブ海の南部に位置する共和制国家トリニダード・トバゴで生まれました。
19世紀半ばのトリニダード・トバゴでは、当時占有していたイギリス政府により暴力的と感じられる「スティック・ファイティング(木製の棒/スティックを用いて行われる武道や格闘技の一種)」やカーニバルで元奴隷のアフリカ系の人たちが好んで使っていた「アフリカン・ドラム」などが連絡の手段になっていると考えられたことにより、ドラムの使用が禁止されていました。
そんな中どうしても音楽を楽しみたい人々が、いろいろな長さにした竹の棒を叩いて音を出す “タンブー・バンブー” を代用し始めたところ、1937年にはタンブー・バンブーの使用までもが禁じられてしまったのだそう。
そこで人々は身近にあるビスケットのカン類などを楽器として使用し始め、これが後のスティールパンへと繋がる第一歩となりました。
そして1939年にウィンストン・スプリー・サイモン氏(※トリニダード・トバゴのミュージシャンであり、西洋音楽に対応する音階のチューニングを発明したとされている)がぼろぼろになったドラム缶を直そうとしていた際に「叩く場所によって音が違う」ことに偶然気が付き、彼が中心となってドラム缶を “音階を持った打楽器” へと発展させていったと言われています。
そのことから国連では、ウィンストン・スプリー・サイモン氏の誕生日である8月11日を「世界スティールパンの日(World Steelpan Day)」として宣言しています。
そんなトリニダード・トバゴで “国民楽器” として認められている「スティールパン」は今では世界中に広がり、日本でもイベントや演奏会が度々開催され “ドラム缶とは思えないほどクリアで透き通った音色” の愛好家は年々増えています☆
■神戸長田発☆スティールパン楽団『ファンタスティックス』
The 25th KOBEスティールパンカーニバル2025では、阪神・淡路大震災後の新長田で地元住民の手によって誕生したスティールパンのオーケストラ『ファンタスティックス(Fantastics)』を中心に、各地からスティールオーケストラが集結!
多彩なパフォーマンスを繰り広げます♪
令和2年12月に「国際マリンバ&スティールパンフェスティバル」世界大会で部門別1位に輝いた『ファンタスティックス』は、新長田地区の商店主を中心に結成されました。
始まりは震災6年後の平成13年4月、長田区の持つ陽気なノリの良さや親しみやすさに “明るいラテンのイメージ” を重ね合わせて企画された復興イベント「長田ラテンミュージックストリート」が開催されたことがきっかけでした。
当時復興イベントの実行委員長を任された商店街で金物店を営む山本豈夫さんは、楽器の演奏経験は全くなかったものの「植民地時代に伝統楽器を取り上げられたアフリカ系の人々が、身近にあったドラム缶を楽器の代用として叩いたことが始まり」とされるスティールパンと「逆境から立ち上がる楽器のイメージが、震災から復興しようとする新長田にふさわしいのではないか」と思い、有志でスティールパンのオーケストラ「ファンタスティックス」を結成しました。
そして “地元住民によるスティールパン演奏を新長田の新たな文化として発信し、多くの人に希望を受け取ってもらおう。”という想いから、イベント終了後も活動継続を決意。
平成14年4月、山本さんを代表に「アスタ新長田スティールパン振興会」を発足させ、スティールパンスクールの運営や自主コンサートの開催を中心に、地元の学校や福祉施設、地域イベント、被災地での演奏活動などをボランティアで行い、スティールパンの魅力や楽しさを届け続けているのだそうです。
■世界的なスティールパン奏者の演奏が楽しめる!
今年は『KOBEスティールパンカーニバル』に世界的なスティールパン奏者であるアンディ・ナレル氏とアニタ・ボナン氏が2年ぶりにスペシャルゲストとして参加♪
世界に認められたスティールパン演奏家の音色を無料で楽しめちゃうこの機会に、ぜひ歴史あるスティールパンの多彩なパフォーマンスを見に行ってみてはいかがでしょうか☆
●Andy NARELL(アンディ・ナレル)
ニューヨーク生まれ。フランスとセントルシアに在住。
15枚以上のソロアルバムをリリースする一方、カリビアン・ジャズ・プロジェクトでの活躍、マーカス・ミラーやTOTOのレコーディングへの参加等でも話題を集めて現在も活躍中。
スティールパン奏者、作曲者として、USA、ヨーロッパ、カリブ諸国、アフリカと世界中で活躍する “スティールパンの王者”。
日本では渡辺貞夫のツアーに参加し、2017年、2019年には東京のコットンクラブで在仏ミュージシャンと組んだカルテットとしてライブをおこなう。
●Anita BONAN(アニタ・ボナン)
チュニス生まれ。フランスとセントルシアに在住。
スティールパン奏者、歌手、サウンドデザイナー、ギタリスト、ビデオクリエーター。アンディ・ナレル氏と共に世界中のスティールパンオーケストラやバンドと演奏。
フランスのスティールパンカーニバル「カラー・カーニバル2013」では総裁をつとめた。
【The 25th KOBEスティールパンカーニバル2025】
■開催日
2025年9月14日(日)
■開催時間
10:00〜17:30(予定)
(詳細は 公式HP をご参照ください。)
■開催場所
新長田鉄人広場(若松公園内)
兵庫県神戸市長田区1丁目
■ アクセス
JR/神戸市営地下鉄西神・山手線「新長田駅」徒歩3分
■料金
入場無料(申込不要)
■主催
アスタ新長田スティールパン振興会
■お問い合わせ先
神戸市 文化スポーツ局文化交流課
TEL: 078-322-5165
■公式サイト
KOBE国際音楽祭2025 / The 25th KOBEスティールパンカーニバル2025