更新日: 2025年5月28日
■ 日本の「敬老の日」はいつ始まったの?
年配の人々を敬愛し、その長寿を祝う「敬老の日」。
日本では毎年9月の第3月曜日とされていますが、もともと2002年までは9月15日が「敬老の日」であったことはご存知でしょうか。
「敬老の日」の始まりは、兵庫県の一つの村が主催した “敬老会” からでした。
1947年(昭和22年)、兵庫県の野間谷村では “長期にわたって社会に貢献してきたお年寄りに敬意を表す” と共に、“その知識や人生経験を伝授してもらう場を設ける” ことを目的に初めて村主催の「敬老会」が開催されました。
「敬老会」は農閑期で気候的にも過ごしやすい9月15日とされ、当日は村の55歳以上の人が村中の自動三輪車で公会堂に送迎され、ごちそうと余興で盛大にもてなされたそうです♪
翌年の1948年(昭和23年)に「国民の祝日に関する法律」が施行され、その中で「こどもの日」「成人の日」は祝日とされましたが、残念なことに「敬老の日」は入っていませんでした。
そこで野間谷村は同年に開催した2回目の敬老会で9月15日を「としよりの日」と村独自の祝日として定めたのです。
1950年(昭和25年)には兵庫県が他県に先んじて9月15日を「としよりの日」と定め、その後も他県や国に対して働き掛けを続け、じわじわと日本中にそのイベントが広まっていきました。
そして1966年(昭和41年)、ついに「敬老の日」が「体育の日」などと共に国民の祝日に加えられたのです!
その後 “ハッピーマンデー制度(祝日を月曜日とし、三連休を作って旅行や休暇にあててもらう制度)” が導入されたのを機に「敬老の日」は9月の第3月曜日とされ、9月15日はまた「老人の日(としよりの日)」に戻りました。
( → 過去記事「敬老の日の由来☆いつから?その意味とは?」もご参照ください。 )
そんな歴史のある「敬老の日」、日本ではおじいちゃんやおばあちゃんに “ずっと元気でいてね” という気持ちや “日頃の感謝の想い” を伝える祝日ですが、海外にも日本のように「敬老の日」の祝日はあるのでしょうか?
今回は【海外の敬老の日事情】についてご紹介させていただきます☆
海外:「敬老の日」が記念日として定着している国
■ アメリカ
アメリカでは1978年に9月の第2日曜日が “年輩の人を敬う日”、“孫が祖父母に対し感謝・尊敬の意をあらわす日” である「National Grandparents’Day(祖父母の日)」に制定されました。
その起源は、1969年に9歳の少年が大統領に「祖父母へ感謝を伝える日を作ってほしい」という手紙を送ったことだという説がありますが、当時は大統領に送った手紙がすぐに承認されることはなかったようです。
1973年、ウエスト・バージニア州のひとりの主婦が自分の祖父母とナーシングホームにいる孤独な老人達のために始めた「慰問活動」が話題となり、その活動が各地へ広がっていったことが起源だともいわれています。
日本の「敬老の日」とアメリカの「National Grandparents’Day(祖父母の日)」はまったく違った起源をもちながら、偶然にも同じ9月に祝うことになったというのが面白いですよね☆
アメリカでは「祖父母の日」には、孫が自分の祖父母へグリーティングカードや花(定番はForget-Me-Not / 日本名:勿忘草 -ワスレナグサ- )などのプレゼントを贈ったり、家族で食事をしたりして過ごすのが一般的なようです。
■ イタリア
イタリアには日本の「敬老の日」に当たる記念日が、2005年に法律により定められた10月2日「Festa dei Nonni(祖父母の日)」と7月26日「Festa di Sant’Anna e Gioacchino(聖アンナと聖ヨアキムの祭)」の年に2回あります。
10月2日の「Festa dei Nonni(祖父母の日)」には、祖父母に感謝の想いをこめて花束や似顔絵を渡すことが多く、花はアメリカで祖父母の日に贈ることが多いということから勿忘草(イタリア名:Myosotis)を贈ることが多いのだそう。
また7月26日の「Festa di Sant’Anna e Gioacchino(聖アンナと聖ヨアキムの祭)」はカトリックの習わしの一つであることから、年上の人を敬うというよりも “2人の聖人に祈りを捧げる日” という意味あいが強く、地域によって教会の前でお祭りや祈りを捧げるためのイベントが行われるようです。
■ 中国
中国では旧暦で9月9日の節句を指す「重陽節」と呼ばれる日が、同時に「敬老節」としても定められています。
昔の人が9を「陽数(奇数)」と呼ぶこと、また中国語の「久」と同じ発音で “永久・長寿” という意味合いがあるため9がふたつ重なる9月9日が “重陽” とされたのですが、そのおめでたい意味にちなみ1989年からは「敬老節」にも定められました。
もともと「重陽節」は厄払いや邪気を払う日とされ “菊の節句” とも言われており、魔除けにもなる菊の花を浮かべたお酒を飲んで、不老長寿を願う風習があります。
「重陽節」は日本のように祝日ではないものの、先祖の墓参りをしたり、(高台に昇ると幸運が訪れると信じられているため)山登りで高地に行ったり、菊の花を観賞したりして過ごすようです。
また “重陽餅” に代表される重陽の蒸し菓子を食べたりと、故事にならって無事を祈る人が多いようです。
海外:「敬老の日」が記念日として存在しない国
■ イギリス
イギリスには「敬老の日」という記念日はありません。
イギリスでは “100歳を祝う” ということが習慣になっており、申請すれば100歳だけでなく105歳・それ以後毎年の誕生日、更に結婚60周年・65周年・70周年記念日にチャールズ国王とカミラ王妃からお祝いのカードが届きます。
これは1912年にジョージ5世国王が始めて後にエリザベス女王に引き継がれたもので、現在では王室の伝統になったのだそう。
そのためイギリスでは100歳をお祝いするバースデーカードや、パーティーの飾りなどがお店でたくさん販売されています。
■ ドイツ
ドイツには日頃から年長者には敬意を示す習慣があり、記念日としての「敬老の日」はありません。
誕生日やクリスマスなど家族が集まる大切なイベントの日には、お年寄りは必ず “特別なゲスト” として大切に迎えられるようです。
■ オーストラリア
「敬老の日」とした祝日はありませんが、高齢者に対する感謝の気持ちと敬意を表す「シルバー・ウィーク」というものがあります。
開催日は州ごとに異なっており、ダンスやコンサートなど様々なイベントが行われますが、“高齢者が若者たち・地域周辺の人たちとのコミュニケーションを交わす日” という意味あいが強いようです。
海外:「敬老の日」に近い記念日がある国
■ フランス
フランスも「敬老の日」の祝日はありませんが、3月の第一日曜日に孫たちが祖母のためにお祝いする「La fête des grands-mères(祖母の日)」があります。
2008年に「祖母の日」があるのに対して「祖父の日」が無いのがおかしいということで、この年の10月の第一日曜日に「La fête des grands-pères(祖父の日)」も制定されました。
どちらも家族で一緒に食事をしたり、プレゼントや花を祖父母それぞれに贈ったりして過ごすようです。
■ ロシア
ロシアにも「敬老の日」はありませんが、高齢者に感謝する記念日があります。
2月23日は「祖国防衛軍の日」は軍人だけでなく、父親と祖父を含めた男性全体を称える日であり、3月8日は「国際婦人デー」で母親や祖母を含めた女性全体に感謝する日として制定されています。
それらの日には家族で食事をしたり、お祝いする人にプレゼントや花を贈ったりするようです。
■ ポーランド
ポーランドにも「敬老の日」というものはなく、1月21日の「祖母の日」、そして1月22日の「祖父の日」が1960年代に制定されました。
どちらも祝日ではありませんが、メッセージカードを渡したり、家族みんなで食事をしたり、花束や贈り物を渡したりして、祖父母それぞれへ “日ごろの感謝の気持ちを伝える日” とされています。
■ 韓国
韓国では10月を「敬老の月」、10月2日が「老人の日」と定められていますが、日頃から年長者を敬愛する文化が根付いているため「敬老の月」「老人の日」の存在は国民の間でもほとんど知られていないのだそう。
家庭によっては家族で集まって食事を楽しむ伝統的な行事もあり、高齢者に対する感謝の気持ちを表す機会となっているものの、特にプレゼントをしたりお祝いしたりする習慣はないようです。
《まとめ》
日本以外の国でも、やはり様々な形で年配者を敬う記念日や文化が存在していましたね!
日本で「としよりの日」が決まった頃のように、「敬老の日」自体はあるものの、まだまだイベントとして定着していない国も多くありました。
どのような形であっても、“年配者のことを敬う” 気持ちは世界共通!
記念日の有無にとらわれることなく、常日頃から年配者には尊敬の念を抱き、感謝の気持ちを忘れずいたいですよね☆
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